2014年9月2日火曜日

2.Build Liveに取り組むにあたっての設計方針とプロセス

■はじめに
このブログは、私たちが価値ある建築を作るために
・どのような手続きを、なぜ踏んでいるのか
・デジタルツールの利活用で設計者の思考がどのように高度化したか
を中心に説明していきます。

■設計方針とプロセス
コノハズクチームは次の2つの問題を解決するために設計方針を立てました。

問題1:既存の用途・機能の概念の間で関係づけされた建築では、その中で行われる人の「ふるまい」そのものの検証がなされていないこと
問題2:石垣島という設計者にとって遠隔地であること

そのため以下の2つの設計方針をもってBuild Liveに参加します。



Ⅰ私たちは人の「ふるまい」から建築を設計します。

「ふるまい」から設計するとは、

・そこで起こりうる人の「ふるまい」
・それらの誘発、創発関係
・発生状況

を考慮しながら設計するということです。
そうして、トップダウンで関係性の決定をせず、個々のユーザーから全体の関係を構築するという、ユーザー視点での設計ができます。


それは、石垣島に見られるマングローブを保全することと似ています。保全のためには、マングローブが存在しうる環境的な成立条件、それを支える生態、その中で営まれる個々の生物の補完関係といった、全体を構築する個々の事象を知ることが重要だからです。



そのため、要項とコンセプトをもとに
① 人の関わりを理解するため「人の『ふるまい』の関係図」を作成します。
② 人の「ふるまい」の連続性、関係性を検証するため、「行動シミュレーション」をつかって、多様な人の「ふるまい」を同時的に可視化します。
③ 人の「ふるまい」は外的環境、境界条件の変化により様々に誘発されるため、誘発されやすい状況をつくるために、それらの「変化を調整しうる設計手法」をとります。





Ⅱ遠隔地でも現地に接近した設計が可能となるプロセスを歩みます。

石垣島は、設計チームが滞在する場所とは遠隔の地にあるため、現地を知らない設計者が、地図上だけでは得られない

・固有の自然環境
・文化
・雰囲気

を捉えたいと考えています。

そのため、以下の3つの方法でデザインの適正を判断します。
① 人々のイメージ、現地の声を取り入れるためにオープンデータを活用したテキストマイニング
② 場所の固有性を認識するため、位置情報を持つ資料、建物、起伏をGoogle Earth上で体験的に記述
③ 現地の意見者から提供を受けた敷地周辺のシークエンスムービーに映る敷地上に3次元オブジェクトモデルを表示し、実際の環境、音、日照下で見えをスタディ



これら
Ⅰ人の「ふるまい」から建築を設計
Ⅱ現地に接近した設計


私たちが大学で日々学ぶシステム工学に根ざし、「V字」モデルによる問題解決型のアプローチで行われます。

この手法を私たちの設計プロセスに応用すると以下の様になります。

設計フローの考え方と、実際のフロー図

上図では網羅的に問題や解決策を見る視点=全体、と、個々の人の「ふるまい」を見る視点=部分の往復、フィードバックを示しています。
こうした、視点の往復と、段階的に問題解決を達成していくプロセスを経ることで、

Ⅰ人の「ふるまい」から建築を設計
Ⅱ現地に接近した設計
を可能にし、結果として石垣島の観光の向上に資する、統合的で多元的価値を内包した建築設計が100時間で可能になると考えています。

フェーズごとに記録を作成中です。私たちの日記として御覧ください。
副代表

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